頭部外傷に対する米国でのCT検査

【PEDIATRICS. Oct 2018】

Burstein, Brett, et al. "Use of CT for Head Trauma: 2007–2015." Pediatrics 142.4 (2018): e20180814."

P: 頭部外傷で救急外来を受診した18歳未満の患児 (2007年から2015年の間の全米病院外来医療調査を活用した横断研究)
E: なし
C: なし
O: 救急外来で頭部外傷に対して頭部CT検査が実施された患児の割合

結果のまとめ

・本研究によると9年間で約1,430万人 (95% confidence interval [以下95% CI] 1,300-1,570万人)の患児が頭部外傷で救急外来を受診したことが推定された。
・そのうち32% ([95% CI] 29-35%)に対して頭部CT検査が実施された。この割合に関して、期間中に年ごとの有意な線形の傾向は認めなかった。
・CT検査の実施は、2歳以上であること (調整オッズ比 [以下aOR] 1.51 [95% CI 1.13-2.01])、白人であること (aOR 1.43 [95% CI 1.10-1.86])、トリアージで緊急性が高いこと (aOR 8.24 [95% CI 4.00-16.95])、教育病院ではないこと (aOR 1.47 [95% CI 1.05-2.06])、小児病院ではないこと (aOR 1.53 [95% CI 1.05-2.23])と関連があった。
・著者らは2007年から2015年にかけて米国でPECARNルール (軽症の頭部外傷小児に対して用いるCTの適応に関する臨床的意思決定ルール)が周知された以降も、頭部CTの実施数は減少していなかったと述べている。本研究では頭部外傷の患児に対して、頭部CT検査の適正利用に向けた質の高い対策が必要であると結論づけている。

原文へのリンク

Toshiyuki Tanaka Written by:

高校時代に渡米、ニューイングランドの寄宿舎で高校生活を送る。大学はコネチカットのリベラルアーツカレッジで経済学を専攻する。卒後はインターンなどを経て、ボストンの大学院で公衆衛生を学ぶ。東南アジアで国際保健のプロジェクトに携わった後、日本に戻り医学部に編入学する。後期研修より小児科医としての研鑽を積む。現在は小児科オンラインの運営に携わる。