分娩加速期の遷延と母子の予後

【OBGYN. Jan 2019】

Govindappagari, Shravya, et al. "Maternal and Neonatal Morbidity After 4 and 6 Hours of Protracted Active Labor in Nulliparous Term Pregnancies." Obstetrics & Gynecology 135.1 (2020): 185-193.

P: 米国の単一医療機関で出産した2,559名の初産妊婦 (2016年8月-2017年9月の単胎頭位分娩。米国カリフォルニア州の周産期施設のカルテデータから収集。)
E: 分娩中のactive phase*に達してから6時間より長く経過しても子宮頸管開大の進行が1cm以下だった群 (遷延群)、または4-6時間経過しても子宮頸管開大の進行が1cm以下だった群 (準遷延群)
C: 分娩中のactive phaseに達してから4時間より短い時間で子宮頸管開大の進行が1cm以上だった群 (正常群)
O: 主要:複合アウトカム (母体の重症イベント)、副次:複合アウトカム (新生児の重症イベント)

* Active phaseは「分娩中に子宮頸管開大が6cmに達した」ものと扱った

結果のまとめ

・母体の重症イベントには母体発熱 (絨毛膜羊膜炎/子宮内膜炎)、産後過多出血、輸血、産後入院期間5日以上が、新生児の重症イベントにはNICU入院、発熱、敗血症、新生児呼吸窮迫症候群、新生児一過性多呼吸、アプガー5分値3点以下、低酸素性虚血性脳症、低体温療法、気管内挿管、入院期間5日より長期が、それぞれ含まれた。
・対象集団の中で2,378名 (90.8%)が経腟分娩だった。
・母体と新生児ともに、遷延群と準遷延群では正常群に比べ重症イベントの発生が多かった。
--母体アウトカム: 遷延群 42.0%、準遷延群 39.5%、正常群 22.6%
(遷延群vs正常群 adjusted odds ratio (aOR) 2.15, 95% CI 1.62–2.86、準遷延群vs正常群 aOR 2.18 , 95% CI 1.67–2.84)
--新生児アウトカム: 遷延群 19.8%、準遷延群 19.4%、正常群 13.8%
(遷延群vs正常群 aOR 1.38, 95% CI 0.98–1.96、準遷延群vs正常群 aOR 1.44 , 95% CI 1.04–1.99)
・遷延群と準遷延群の間には予後に有意差が認められなかった。
・著者らは、本研究において分娩中のactive phaseで4時間以上経過しても子宮頸管開大の進行が1cm以下では母子の予後不良と関連しており、継続した子宮頸管開大の測定が重要だと結論づけている。

原文へのリンク

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Daisuke Shigemi Written by:

産婦人科専門医、公衆衛生学修士。 株式会社Kids Publicの産婦人科医師統括部として産婦人科オンラインの運営に携わっている。また、東京大学大学院の博士課程に在籍しながら産科病院での臨床にも従事している。 初期研修を日本赤十字社医療センターで行い、3年目に日本医科大学産婦人科学教室に入局。卒後8年目に退局。