気切の児への入院早期の抗インフル薬

【PEDIATRICS. Mar 2019】

Miyakawa, R., et al. "Early Use of Anti-influenza Medications in Hospitalized Children With Tracheostomy." Pediatrics 143.3 (2019).

P:2007-2015年の間に、アメリカにある49の小児病院に入院し、「気管切開」と「インフルエンザ感染症」の病名登録を受けた生後30日から19歳までの小児
(Pediatric Health Information System (PHIS) databaseを使用した後ろ向きコホート研究)
E: 入院0-1日目に抗インフルエンザ薬の使用あり
C:入院0-1日目に抗インフルエンザ薬の使用なし
O:入院期間の短縮と30日以内の再診率

※抗インフルエンザ薬:アマンタジン、リマンタジン、オセルタミビル、ザナミビル、 ペラミビル

結果のまとめ
・対象の期間中に「気管切開」と「インフルエンザ感染症」の病名登録を受けていた対象者は899名であり、その年齢の中央値は5歳 (四分位範囲 2-10歳)、胃瘻の使用 (75.2%)などの慢性的な医学的背景が平均で3つ (四分位範囲 3-4つ)あり、多くの患者で抗菌薬が使用され (82.2%)、その投与期間の平均は5.3日 (95% confidence interval 5.0–5.6)であった。
・対象者899名のうち、入院0-1日目に抗インフルエンザ薬を使用した早期投与群は513名、入院0-1日目に使用していない対照群は386名であり、年齢の中央値は早期投与群で高く (早期投与群で5歳 vs 対照群で4歳; P = .004)、入院期間は早期投与群で短く (6.6日 vs 7.5日; P = .02) 、退院後30日以内の再診率 (26.1% vs 24.1%; P = .49)や抗菌薬の投与期間 (5.2日 vs 5.6日; P = .19)は変わらなかった。
・傾向スコアでマッチした早期投与群と対照群 (各386名)を比較したところ、入院期間は早期投与群で短く (6.4日 vs 7.5日; P = .01)、退院後30日以内の再診率 (27.5% vs 24.1%; P = .28)と抗菌薬の投与期間 (5.0日 vs 5.6日; P = .11)は有意差がなかった。
・筆者らは、気管切開を持ち複数の慢性的な医学的背景を持つ小児において、早期の抗インフルエンザ薬の投与が入院期間を短縮させる可能性があると述べた。また、そのような小児は、ウイルスの感染が同定されその治療がなされても、高い割合で抗菌薬が継続投与されてしまっていることを指摘した。

原文へのンク

Yasuyuki Fuseda Written by: