米国における自閉症の有病率

【PEDIATRICS. Dec 2018】

Kogan, Michael D., et al. "The Prevalence of Parent-Reported Autism Spectrum Disorder Among US Children." Pediatrics 142.6 (2018): e20174161."

P: 米国の健康調査である2016 NationaL Survey of Children’s Health (NSCH)に参加した0歳から17歳までの小児50,212名 (2016年6月-2017年2月にアンケートによる調査を実施)
E: 過去に医療者により自閉症スペクトラム (Autism Spectrum Disorder 以下ASD)と診断され、調査時点でもASDの症状を持つ小児の保護者からの報告
C:
O: 米国における小児のASDの推定有病率、ASDの児の医療ケアの状況 (健常児を含む他の小児と比較)、内服治療や行動療法に関連する因子

結果のまとめ

・保護者からの報告によると、米国では3歳から17歳までの小児150万人 (2.5%)が過去にASDと診断され、調査時点でもASDの症状があった。
・ASDと診断された小児は、健常児や他の精神発達障害 (注意欠陥・多動性障害、不安障害、行動障害、鬱病、発達遅滞、ダウン症候群、知的障害、学習障害、トゥレット症候群)を抱える小児よりも、多くの医療ケアを必要とし、医療へのアクセスがより困難だった。
・現在ASDと診断されている小児の27%がASDによる症状に対して内服治療を受けており、64%が過去一年以内に行動療法を受けていた。
・筆者らは、保護者の報告を元にすると米国でのASDの推定有病率は40人に1人であり、ASDに対する治療の割合は小児の社会背景や併存症により異なると結論づけている。

原文へのリンク

Toshiyuki Tanaka Written by:

高校時代に渡米、ニューイングランドの寄宿舎で高校生活を送る。大学はコネチカットのリベラルアーツカレッジで経済学を専攻する。卒後はインターンなどを経て、ボストンの大学院で公衆衛生を学ぶ。東南アジアで国際保健のプロジェクトに携わった後、日本に戻り医学部に編入学する。後期研修より小児科医としての研鑽を積む。現在は小児科オンラインの運営に携わる。