小児呼吸器疾患の医療の質の評価

【PEDIATRICS. Aug 2019】

Mangione-Smith, Rita, et al. "Pediatric Respiratory Illness Measurement System (PRIMES) Scores and Outcomes." Pediatrics (2019): e20190242.

P: 米国内の小児病院に気管支喘息・細気管支炎・市中肺炎・クループのいずれかの診断で受診もしくは入院した生後2週間から16歳までの小児 (2014年7月から2016年6月、5箇所の小児病院)
E: なし
C: なし
O: 生活の質 (PedsQL)・入院期間・30日以内の同診断での再入院率・PRIMESスコア

※PRIMESは気管支喘息・細気管支炎・市中肺炎・クループに対する医療ケアの質を評価するツール。患者の入院中の記録を元に0-100にスコア化され、スコアが高いほど医療の質が高い評価になる。PRIMESでは1つの疾患につき3種のスコアが算出される:overall composite (過剰および過少治療の指標), overuse composite (過剰治療の指標), underuse composete (過少治療の指標)

結果のまとめ
・2,334名の小児が研究対象となり、入院期間中 (2,310名)および退院後2-6週以内 (1,686名)に生活の質に関するアンケート (PedsQL)に回答した。入院中の記録から4つの疾患ごとに3種のPRIMESスコアを算出した。
・overuse compositeのスコアが10ポイント上がるごとに、入院期間は細気管支炎で8.8時間の短縮 (95% confidence interval [以下CI] –11.6 – –6.1)、気管支喘息で3.1時間の短縮 (95% CI –5.5 – –1.0)、クループで2時間の短縮 (95% CI –3.9 – –0.1)を認めた。
・細気管支炎においてはoverall compositeのスコア増加と入院期間の短縮に関連を認めた。
・PRIMESスコアはいずれも生活の質 (PedsQL)や再入院率との関連は認めなかった。
・著者らは、一部のPRIMESスコアの増加は入院期間の短縮と関連し、特に過剰な治療を是正することが有効だと結論づけている。

原文へのリンク

Toshiyuki Tanaka Written by:

高校時代に渡米、ニューイングランドの寄宿舎で高校生活を送る。大学はコネチカットのリベラルアーツカレッジで経済学を専攻する。卒後はインターンなどを経て、ボストンの大学院で公衆衛生を学ぶ。東南アジアで国際保健のプロジェクトに携わった後、日本に戻り医学部に編入学する。後期研修より小児科医としての研鑽を積む。現在は小児科オンラインの運営に携わる。