胸部X線で異常がない時の肺炎リスク

【PEDIATRICS. Sep 2018】

Lipsett, Susan C., et al. "Negative Chest Radiography and Risk of Pneumonia." Pediatrics (2018): e20180236."

P: 小児救急外来で肺炎の可能性が疑われ、胸部X線検査を実施された生後3ヶ月から18歳の患児683名 (ボストン小児病院、2015年5月-2017年4月の2年間)
E: 胸部X線検査で異常を指摘されず、臨床症状からも肺炎と診断に至らなかった症例を2週間追跡
C: なし
O: 追跡期間中に医師により肺炎と診断された症例

結果のまとめ

・本研究には2年間で683名が参加し、年齢の中央値は3.1歳だった。
・683名のうち113名 (16.5%)が胸部X線検査で肺炎が疑われ、73名 (10.7%)が”equivocal” (肺炎は否定できない)とされ、497名 (72.8%)が異常を指摘されなかった。
・その異常を指摘されなかった患児のうち44名 (8.9%)は臨床症状から肺炎と診断された。
・胸部X線検査で異常が指摘されず、臨床的にも肺炎と診断されなかった453名の患児のうち42名 (9.3%)が肺炎以外の細菌感染症を疑われ抗菌薬による治療が開始されていた。
・胸部X線検査で異常が指摘されず、臨床症状から肺炎が否定され、抗菌薬を使用しなかった411名 (90.7%)のうち、5名 (1.2%)が救急外来受診後2週間以内に肺炎の診断に至った (胸部X線検査の陰性適中率 98.8% [95% confidence interval 97.0-99.6%])。胸部X線検査で異常が指摘されなかったが、肺炎と診断された44名を加えた場合の胸部X線検査の陰性適中率 89.2% [95% confidence interval 85.9-91.9%])。
・臨床的に肺炎と診断された156名のうち、78%は胸部X線検査で肺炎が示唆され、22%は胸部X線検査で異常は指摘されなかった。
・著者らは、胸部X線検査で異常がなければ大部分の小児で肺炎を除外できると述べている。また、胸部X線検査で異常が指摘されず、臨床的にも肺炎の可能性が少ない症例では抗菌薬を使用せず経過観察できると述べている。

原文へのリンク

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Toshiyuki Tanaka Written by:

高校時代に渡米、ニューイングランドの寄宿舎で高校生活を送る。大学はコネチカットのリベラルアーツカレッジで経済学を専攻する。卒後はインターンなどを経て、ボストンの大学院で公衆衛生を学ぶ。東南アジアで国際保健のプロジェクトに携わった後、日本に戻り医学部に編入学する。後期研修より小児科医としての研鑽を積む。現在は小児科オンラインの運営に携わる。