NICU退院患者への遠隔医療の活用

【医療×ICT. Feb 2018】

Willard, April, et al. "Complex Surgical Infants Benefit From Postdischarge Telemedicine Visits." Advances in Neonatal Care18.1 (2018): 22-30.

P: フィラデルフィア小児病院のNICUから退院した、人工呼吸器や経管栄養管理中、もしくは、手術部位の創部ケアなど医療的・外科的な経過観察を必要とする児の保護者で、スマートフォンやパソコンなどの通信手段を持っている者
E: 保護者は、児のNICU退院後1週間以内に、NICUの遠隔医療チームとビデオ通話を介した遠隔医療による受診をする
C: なし
O: 遠隔医療による受診に寄せられた相談内容の分析、受診後の保護者の満足度

結果のまとめ

・2015年5月-2017年3月の期間に、93名が遠隔医療による受診をした。そのうち76%が術後の児であった。
・相談内容の分析で78件の退院後の問題が同定された。それらは、手術部位の問題 (35%)、栄養の問題 (33%) 、呼吸の問題 (19%)、投薬について (13%)であった。
・遠隔医療による受診をした93名のうち50%の保護者が、遠隔医療による受診のおかげで対面による外来受診を回避することができたと回答した。また、12%の児が症状増悪の早期発見やその後の適切な対面による外来受診につながった。
・75%の保護者が対面より遠隔医療による受診を好むと回答した。参加者全体における外来受診のための移動距離の合算として、推定1,755マイル (2,824km)の減少をもたらした。
・筆者らは、継続的な経過観察を必要とするNICU退院児に対して、遠隔医療による受診は症状増悪の早期発見、保護者へのサポート提供、外来受診のための移動距離節約に貢献すると述べている。

原文へのリンク

Naoya Hashimoto Written by:

小児科医、公衆衛生修士、株式会社Kids Public 代表取締役。2009年 日本大学医学部卒。聖路加国際病院にて初期研修。国立成育医療研究センターにて小児科研修。東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻 修士課程修了。