急性期〜入院まで可能な病院数の推移

【PEDIATRICS. Jan 2020】

Michelson, Kenneth A., et al. "Trends in capability of hospitals to provide definitive acute care for children: 2008 to 2016." Pediatrics 145.1 (2020): e20192203.

P: 米国において2008-2016年に15才未満の小児が救急外来を受診した病院 (救急受診患者の全米規模のデータベース [全体の約20%を反映するもの]から抽出)
E: 該当するデータを元に外来受診から入院までの継続した医療を提供した病院の特性を調査
C: なし
O: Hospital Capability Index (HCI: 急性期から入院までの継続した医療を提供した割合。救急外来で急性期のみ治療し、その後他院へ搬送した場合などは含まない。算出方法は入院患者数 / [他院への搬送患者数+入院患者数]で、スコアは0-1で表される。HCIが0であれば外来で急性期の対応はしたが、入院は一度もさせていないと解釈される。)

結果のまとめ

・本研究では約3,020の病院を分析し、統計学的に15才未満の小児の救急外来受診の約2億件を反映するものだった。
・2008年度の全米の病院のHCIの中央値は0.06 (四分位範囲: 0.01-0.17)、2016年度は0.02 (四分位範囲: 0.00-0.09)だった。
・年間の小児の救急外来へ受診数や病院の地域性などの因子に関係なく、外来受診から入院までの継続した医療を提供する病院は少なくなっていた。
・HCIの低い病院における小児患者の救急外来受診数は、2008年度の250万件から2016年度の530万件に倍増していた。
・国全体としては外来から入院までの継続した医療が提供できない病院が増えているにも関わらず、小児の受診が多い病院や都市部の病院では、入院までを含む継続した医療を提供できていた。
・著者らは、2008-2016年では小児患者が救急外来を受診した場合、急性期から入院までの継続した医療を提供する病院は減少傾向があると述べている。また、これらの病院の救急外来への受診は増加傾向にあることから、小児科患者を受け入れる病院機能の向上のためには国としての制度の改善が望まれると結論づけている。

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Toshiyuki Tanaka Written by:

高校時代に渡米、ニューイングランドの寄宿舎で高校生活を送る。大学はコネチカットのリベラルアーツカレッジで経済学を専攻する。卒後はインターンなどを経て、ボストンの大学院で公衆衛生を学ぶ。東南アジアで国際保健のプロジェクトに携わった後、日本に戻り医学部に編入学する。後期研修より小児科医としての研鑽を積む。現在は小児科オンラインの運営に携わる。