熱性けいれんの長期的予後

【PEDIATRICS. Oct 2019】

Dreier, Julie Werenberg, et al. "Evaluation of Long-term Risk of Epilepsy, Psychiatric Disorders, and Mortality Among Children With Recurrent Febrile Seizures: A National Cohort Study in Denmark." JAMA pediatrics (2019).

P:1977-2011年にデンマークに生まれた児 (Danish Civil Registeration System [デンマークのナショナルレジストリー]のデータを利用)
E:熱性けいれんの発症あり
C:熱性けいれんの発症なし
O:熱性けいれんの再発、てんかん、その他の精神疾患の罹患率、死亡率

結果のまとめ
・2,103,232名が研究対象となり、そのうち75,593名 (3.6%)が生後3ヶ月から5歳までに熱性けいれんと診断された。
・熱性けいれんの5歳までの累積罹患率は、男子で3.9% (95% confidence interval [以下、95% CI] 3.9-4.0%)、女子で3.3% (95% CI 3.2-3.3%)と、男子の方が多かった (Hazard raito 1.21, 95% CI 1.19-1.22)。
・熱性けいれんを起こす (再発含む)可能性は、熱性けいれんの既往のない児で3.6%であるが、熱性けいれんを1回起こすと22.7% (95% CI 22.4-23.0%)、2回起こすと35.6% (95% CI 34.9-36.3%)、3回起こすと43.5% (95% CI 42.3-44.7%)であった。
・30年間のてんかんの累積罹患率は、熱性けいれんの既往のない児で2.2% (95% CI 2.1-2.2%)、1回起こすと6.4% (95% CI 6.2-6.6%)、2回起こすと10.8% (95% CI 10.2-11.3%)、3回起こすと15.8% (95% CI 14.6-16.9%)であった。
・30年間の精神疾患の累積罹患率は、熱性けいれんの既往のない児で17.2% (95% CI 17.2-17.3%)、3回起こすと29.1% (95% CI 27.2-33.6%)であり、てんかんの有無の影響を差し引いても多かった。
・30年間の累積死亡率は、熱性けいれんの既往のない児で1.0% (95% CI 0.9-1.0%)、3回以上起こしたことのある児で1.9% (95% CI 1.4-2.7%)と有意に増えたが、てんかんの有無を調整すると有意差はなくなり、てんかんの合併によるものと考えられた。
・筆者らは、この研究はデンマークの国の登録データを用いて期間内に生まれた全ての児を対象とし、熱性けいれんの長期的予後を示すことが出来たとし、てんかんや精神疾患の早期発見や早期治療が大切になるだろうと述べた。

原文への

Yasuyuki Fuseda Written by: