米国小児科医の年収の男女差

【PEDIATRICS. Oct 2019】

Frintner, Mary Pat, et al. "Gender differences in earnings of early-and midcareer pediatricians." Pediatrics 144.4 (2019): e20183955.

P: 米国小児科学会で行われているPLACE (Pediatrician Life and Career Experience Study)に参加している米国での小児科研修を修了した若手・中堅小児科医
E: 2016年に実施されたPLACEのデータから、性別、人種、居住、勤務状況 (勤務年数、診療している患者数、開業の有無、職場の場所など)、家庭状況 (婚姻の有無、子どもの有無、勤務時短の有無など)などを抽出
C: なし
O: 年収の男女差

※PLACE: 米国小児科学会で2012年より開始された縦断研究。若手・中堅小児科医のキャリア、日常生活などに関する小児科医としての経験を年2回のアンケートで追跡している。

結果のまとめ

・2016年にPLACEに参加している小児科医の合計1,801名のうち、1,213名 (67%)がアンケートに回答した。そのうち、解析は以下の3つの職種を対象とした: 一般小児科 (general pediatrics) 507名、病棟専門 (hospitalist care) 118名、サブスペシャリティ専門 (subspeciality care) 373名。
・自己申告による小児科医の年収の平均は$189,804 (額面年収)だった。
・調整前のデータでは女性小児科医の年収は男性小児科医の76%以下、もしくは$51,000少なかった。年齢、人種、就業時間、専門性などの背景因子の調整後では女性の年収は男性の87%以下、もしくは$26,000少なかった。家庭状況の因子の調整後では女性の年収は男性の94%以下、もしくは$8,000少なかった。
・著者らは、女性小児科医の年収は男性小児科医より低く、年収に影響するであろう因子の調整後も同様の結果であり、今後の縦断研究では勤務時短の期間、家庭内の義務、休日の取りやすさなどの詳細を加味するべきと結論づけている。

原文へのリンク

Toshiyuki Tanaka Written by:

高校時代に渡米、ニューイングランドの寄宿舎で高校生活を送る。大学はコネチカットのリベラルアーツカレッジで経済学を専攻する。卒後はインターンなどを経て、ボストンの大学院で公衆衛生を学ぶ。東南アジアで国際保健のプロジェクトに携わった後、日本に戻り医学部に編入学する。後期研修より小児科医としての研鑽を積む。現在は小児科オンラインの運営に携わる。