百日咳ワクチンの効果と経時変化

【PEDIATRICS. July 2019】

Zerbo, Ousseny, et al. "Acellular pertussis vaccine effectiveness over time." Pediatrics (2019): e20183466.

P:1999-2016年に生まれ、生後2か月の時点で米国の医療グループ (カイザーパーマネンテ)の加入者であった児
E:百日咳ワクチンを米国の推奨スケジュール (月齢2,3,6,12-18と4-6歳)に従い接種
C:百日咳ワクチンを推奨より少ない回数の接種もしくは接種なし
O:百日咳の診断 (real time PCRで陽性)

※カイザーパーマネンテ:アメリカ カリフォルニア州を本拠を置く、保険機関でありながら独自の医療機関を持つグループ。保険加入者は、基本的に傘下の医療機関に受診する。

結果のまとめ

・解析対象となった3か月から11歳の児469,982名の中で、百日咳の診断となったのは738名であり、内訳はワクチン未接種の児で99名、ワクチン接種回数が少ない児で36名、推奨通りのワクチン接種の児で515名、推奨回数より1回多い接種の児で88名だった。
・推奨通りの接種を行なっていない2つの群は、百日咳ワクチンを推奨通りに接種した群と比較して、それぞれ百日咳にかかる可能性が高かった。(ワクチン未接種群:adjusted hazard ratio [以下、aHR] 13.53, 95% confidence interbal [以下、95% CI] 10.64-17.21、ワクチンの接種回数の少ない群:aHR 1.86, 95% CI 1.32-2.63)
・百日咳ワクチンを受けてからの時間が伸びると百日咳のリスクは高くなっており、月齢19-84未満の児で接種から3年以上経過と1年未満の比較で約5倍 (aHR 5.04, 95%CI 1.84-13.80)、月齢84-132の児で接種から6年以上経過と3年未満の比較で約2倍 (aHR 2.32, 95% CI 0.97-5.59)となっていた。
・筆者らは、推奨以下のワクチン接種、特に未接種の児で百日咳のリスクが高いと述べている。一方で、百日咳にかかっている児の多くはワクチンを推奨通りに接種している児であることや、百日咳ワクチンの接種から時間が経つにつれ百日咳にかかる可能性が高くなっていることを指摘し、この予防接種効果の不十分さが近年の百日咳の流行の原因の1つなのではないかと述べた。

原文への

Yasuyuki Fuseda Written by: