遠隔医療を活用した妊婦健診

【AJOG. Feb 2020】

Yvonne S. Butler Tobah YS, LeBlanc A, Branda ME, et al. Randomized comparison of a
reduced-visit prenatal care model enhanced with remote monitoring. Am J Obstet Gynecol 2019;221:638.e1-8. 

P: 18~36才の合併症のない妊娠13週未満の妊婦300名 (アメリカ中西部の三次周産期センターで2014年3月から2015年1月に妊婦健診を受けていた女性よりリクルート)
E: 8回の通常の妊婦健診+6回の遠隔妊婦健診 (遠隔群150名。OB Nestと呼ばれる、看護師との電話またはオンライン面談、自宅用の血圧測定と胎児心拍数ドップラー検査、妊婦同士のオンラインコミュニティへの参加を組み合わせた健診プログラムを実施。)
C: 12回の標準的な妊婦健診 (通常群150名。全て対面での健診を実施。)
O: 妊婦の満足度 (妊娠36週時点)、妊娠中に感じたストレス (妊娠14、24、36週時点)、妊婦が感じたケアの質 (妊娠36週時点)、アメリカ産婦人科学会が推奨する妊婦健診の実施度、母児の安全アウトカム、ヘルスケアサービスの使用度

結果のまとめ

・遠隔群の方が通常群より患者満足度が高かった ( 93.9% vs 78.9%, P <0.01)。
・遠隔群の方が妊娠14週と36週に測定した妊婦のストレスが低かった。
妊娠14週:遠隔群 0.32 vs 通常群 0.41, P <0.01
妊娠36週:遠隔群 0.34 vs 通常群 0.40, P <0.03
・患者が感じたケアの質や学会推奨の健診実施度は、両群に有意差は認められなかった。
・遠隔群の方が、通常群より看護スタッフがオンライン等で接触していた総時間が長かった(171.2 分 vs 108.2 分, mean differenceの95% confidence interval 48.7-77.4分)。
・著者らは、低リスクの妊婦健診において遠隔医療を導入することで、ケアの質や周産期アウトカムを損ねることなく妊婦の利便性や満足度を向上させることができるだろうと結論づけている。

原文へのリンク

Ayako Shibata Written by:

淀川キリスト教病院 産婦人科専門医。 2011年群馬大学を卒業後に沖縄で初期研修。世界遺産15カ国ほど旅行した経験から女性や母親を支援する職業になりたいと産婦人科医を専攻する。 著者:女性の救急外来 ただいま診断中!(中外医学社,2017)、総合医療雑誌J-COSMO編集委員。