避妊手段と女性の性的体験の関連

【OBGYN. Jul 2019】

Lu, Connie F., et al. "A Qualitative Study of the Contraceptive Effect on Women's Sexual Experiences: Beyond Hormonal Effects." Obstetrics & Gynecology 134.1 (2019): 91-101.

P: 男性を恋愛対象とし性交渉経験のある18-45歳の女性 (米国におけるProject WISH [前向き質的研究]の一環で募集)
E: 3種類の避妊手段 (腟内リング、低用量ピル、殺精子剤+コンドーム)
C: なし
O: 避妊手段における物品使用と身体的影響、性的体験への影響 (深層面接 [in-depth interview]で聴取)

腟内リング: ピルと同類のホルモンを経常的に分泌してくれる柔らかいリング状の医療器具。
殺精子剤+コンドーム: 女性の腟内に殺精子剤ゼリーを注入し、男性がコンドームを装着する方法。

結果のまとめ

・24名の対象者は2種類の介入 (3種類の避妊手段を3ヶ月間ずつ使用 [合計9ヶ月間、順序はランダム]、またはランダムで決められた避妊手段を3ヶ月使用し次の3ヶ月間は同じ手段を継続するか他の手段とするか選択する [合計6ヶ月間])のうちどちらかに割り付けられた。
・1度目、2度目、3度目のインタビュー調査が完了できたのはそれぞれ16名、11名、6名で、合計33回分のインタビュー記録が得られた。
・腟内リングに関しては、物品使用への負の影響 (入れ替えに伴う手間)や身体的な負の影響 (挿入中の不快感)が聴取された。
・殺精子剤+コンドームに関しては、物品使用への負の影響 (途中で腟内に薬剤を挿入することでの性交渉のリズム中断)や身体的な正の影響 (潤滑剤の効果)が聴取された。
・低用量ピルに関しては、物品使用への負の影響 (定期的な内服の必要性)が聴取されたが、身体的影響は聴取されなかった。
・パートナーへの配慮により使用を中断した例もみられた (腟内リングによる男性器への不快感や、殺精子剤使用時のオーラルセックス拒否など)。
・著者らは、「それぞれの避妊法が性生活にもたらす様々な影響が個々人の避妊法への意見や考えを形作っていること」を医療者が理解することが、より好ましい避妊法の助言において重要である、と結論づけている。

原文へのリンク

Daisuke Shigemi Written by:

産婦人科専門医、公衆衛生学修士。 株式会社Kids Publicの産婦人科医師統括部として産婦人科オンラインの運営に携わっている。また、東京大学大学院の博士課程に在籍しながら産科病院での臨床にも従事している。 初期研修を日本赤十字社医療センターで行い、3年目に日本医科大学産婦人科学教室に入局。卒後8年目に退局。