施設規模と母体合併症発生の関係

【OBGYN. Feb 2019】

Bozzuto, Laura, et al. "Effects of Delivery Volume and High-Risk Condition Volume on Maternal Morbidity Among High-Risk Obstetric Patients." Obstetrics & Gynecology 133.2 (2019): 261-268.

P: 米国で出産した1,000万人以上の女性 (カリフォルニア州、ミズーリ州、ペンシルバニア州で1995〜2009年に登録された出産データベースから後方視的に抽出)
E: ハイリスク妊婦として出産した約146万人の女性
C: なし
O: 母体合併症に関する複合アウトカム (急性心筋梗塞や急性腎不全、子癇発作や羊水塞栓症など米国CDCが定義する20の状態で構成されたもの)

結果のまとめ

・ハイリスク妊婦は、外科的診断 (慢性的胎盤早期剥離、前置胎盤、前置血管) または内科的診断 (先天性心疾患、妊娠糖尿病、糖尿病合併妊娠、高血圧合併妊娠、妊娠高血圧症、慢性心疾患、腎疾患、ループス、アルコールまたは薬物中毒、HIVまたはAIDS、気管支喘息、肺高血圧症) のいずれか一つ以上を有する妊婦と定義された。
・対象女性は、外科的診断で142,194名、内科的診断で1,322,276名だった (妊娠20週未満での早産や出産目的で転院した症例は除外された)。
・分娩施設規模は、(1) 年間総分娩数、(2)年間ハイリスク分娩数の2つでカテゴリー化して解析に用いられた。
・主要アウトカムである母体合併症発生率は、最も年間総分娩数の多い施設群で有意に低かった (外科的診断妊婦: adjusted odds ratio [以下AOR] 0.78, 内科的診断妊婦: AOR 0.72)。一方で、年間ハイリスク分娩数が多い施設ほど、母体合併症発生率は有意に上昇していた (AOR 1.27)。
・母体合併症発生率が最も低かったのは、年間総分娩数が最も多く、年間ハイリスク分娩数が最も少ない群の分娩施設だった (外科的・内科的診断ともに同様)。
・著者らは、ハイリスク分娩に多く対応する施設でむしろ母体合併症が多かったという意外な本研究の結果に対し、今後はより正確な評価のために、転院の詳細な記録と疾患の重症度に関するデータも蓄積されることが望ましい、と結論づけている。

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Daisuke Shigemi Written by:

産婦人科専門医、公衆衛生学修士。 株式会社Kids Publicの産婦人科医師統括部として産婦人科オンラインの運営に携わっている。また、東京大学大学院の博士課程に在籍しながら産科病院での臨床にも従事している。 初期研修を日本赤十字社医療センターで行い、3年目に日本医科大学産婦人科学教室に入局。卒後8年目に退局。