水腎症のある新生児の割礼とUTI

【PEDIATRICS. Jul 2018】

Ellison, Jonathan S., et al. "Neonatal Circumcision and Urinary Tract Infections in Infants With Hydronephrosis." Pediatrics (2018): e20173703.

P: 生後30日以内に水腎症あるいは水腎症関連疾患と診断された5561名の男児 (米国保険請求データベース、2007-2013年)
E: 新生児期に割礼を実施する
C: 新生児期に割礼を実施しない
O: 生後1年以内のUTIへの罹患率

結果のまとめ

・割礼は新生児期の水腎症の有無に関わらず、1歳までのUTI発症リスクの減少と関連する (水腎症あり odds ratio 0.36 [95% confidence interval 0.29-0.44]、水腎症なし odds ratio 0.32 [95% confidence interval 0.21-0.48])。
・水腎症のある男児であれば10名に、水腎症のない男児であれば83名に、割礼を実施することでUTIを1症例予防することができる。
・それぞれの病態 (水腎症単体、膀胱尿管逆流症、腎盂尿管移行部閉塞)において、割礼によるUTI減少への影響に有意差はなかった (それぞれodds ratio 0.35)。
・本研究では割礼は水腎症のある男児の43%、水腎症のない男児の52%で実施された。
・筆者らは新生児期の割礼は水腎症のある男児のUTIの罹患率を有意に減らすと結論付けている。

原文へのリンク

Toshiyuki Tanaka Written by:

高校時代に渡米、ニューイングランドの寄宿舎で高校生活を送る。大学はコネチカットのリベラルアーツカレッジで経済学を専攻する。卒後はインターンなどを経て、ボストンの大学院で公衆衛生を学ぶ。東南アジアで国際保健のプロジェクトに携わった後、日本に戻り医学部に編入学する。後期研修より小児科医としての研鑽を積む。現在は小児科オンラインの運営に携わる。