新型コロナウイルスの妊婦への影響

【The Lancet. Feb 2020】

Chen, Huijun, et al. "Clinical characteristics and intrauterine vertical transmission potential of COVID-19 infection in nine pregnant women: a retrospective review of medical records." The Lancet 395.10226 (2020): 809-815.

P:2020/1/20-31に中国の武漢大学中南医院を受診し、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の診断となった9名の妊婦
E:なし
C:なし
O:臨床症状、羊水・臍帯血・新生児の咽頭拭い・母乳の検体からのウイルス検出
※新型コロナウイルス感染症:2019 novel coronavirus disease(COVID-19)
COVID-19の原因ウイルス:sever acute respiratory syndrome coronavirus 2(SARS-CoV-2)

結果のまとめ
・RT-PCRでSARS-CoV-2が検出されたものを陽性とした。妊婦の確定診断には咽頭拭い液を用いた。
・9名の妊婦の年齢の幅は26-40歳であり、受診時点での妊娠週数は、36週-39週4日であった。高血圧や糖尿病、心臓病などの既往を持つ人はいなかった。
・妊婦におけるCOVID-19の症状はこれまでの成人での報告と同様であり、9名のうち7名に発熱、4名に咳、3名に筋肉痛、2名に咽頭痛、2名に倦怠感の症状があった。
・9名中、挿管管理を必要とするような重症化した症例はなかった。
・9名全例で胸部CTが施行され、その8名で特徴的な多発斑状のすりガラス陰影を認めた。
・9名とも帝王切開を行った。
・出生した9名の児で新生児仮死となった症例はいなかった。
・6名から羊水、臍帯血、新生児の咽頭拭い、母乳の検体を採取することができ、そのいずれからもSARS-CoV-2は検出されなかった。
・以上より筆者は、現時点では妊婦におけるCOVID-19の症状はこれまでの報告での成人での症状と同じ程度であり、羊水や臍帯血などの検体からは現時点では妊娠後期の妊婦から胎児への垂直感染を示唆する所見は見つからなかった、と述べた。

原文への

Yasuyuki Fuseda Written by: