超早産児の19歳時の神経心理学的評価

【PEDIATRICS. Feb 2020】

O’Reilly, Helen, et al. "Neuropsychological outcomes at 19 years of age following extremely preterm birth." Pediatrics 145.2 (2020): e20192087.

P: EPICure (1995年にイギリスで在胎26週未満で出生した児を対象としたコホート研究)に参加している191名
E: 在胎26週未満で出生した早産群 (127名)
C: 正期産 (在胎37週以降)で出生したコントロール群 (64名)
O: 19歳の時点でのIQ、視覚-運動能力 (視覚から入った図形を手で書き写す検査)、展望的記憶 (これから行おうとする計画についての記憶を問う検査)、言語性記憶や空間認知などの実行機能

結果のまとめ

・早産群では全ての評価項目においてコントロール群よりも低い点数だった。
・早産群の60%は神経心理学的の (少なくとも)一領域での障害を認めた (認知機能や視覚-運動能力の障害が最も多かった)。
・知的障害 (IQ70未満)を伴う早産群の割合は11歳での評価と比べると、19歳の時点では6.7%の増加 (8.4%→15.1%)を認めた。
・著者らは、在胎26週未満で出生した早産児の青年期はコントロール群と比し、一般の認知能力やその他の神経心理学的領域において劣っており、時間を経ても改善が少ないと述べている。そのため、早産児に対しては早期から適切な支援が受けられるよう、早期からの継続した認知能力等の評価と計画的な教育方針の策定が望まれると結論づけている。

原文へのリンク

Toshiyuki Tanaka Written by:

高校時代に渡米、ニューイングランドの寄宿舎で高校生活を送る。大学はコネチカットのリベラルアーツカレッジで経済学を専攻する。卒後はインターンなどを経て、ボストンの大学院で公衆衛生を学ぶ。東南アジアで国際保健のプロジェクトに携わった後、日本に戻り医学部に編入学する。後期研修より小児科医としての研鑽を積む。現在は小児科オンラインの運営に携わる。