川崎病による冠動脈以外の動脈瘤

【PEDIATRICS. Dec 2019】

Zhao, Qu-ming, et al. "Systemic Artery Aneurysms and Kawasaki Disease." Pediatrics 144.6 (2019).

P:2016/4/1-2019/3/31の間に中国上海の復旦大学付属の小児病院を受診した川崎病の患児
E:なし
C:なし
O:冠動脈以外の動脈瘤病変の有無

結果のまとめ
・日本循環器学会のガイドラインに則り川崎病の診断をし、その中で、巨大冠動脈瘤病変がある児、進行する冠動脈瘤病変がある児、2回の免疫グロブリン療法に反応のなかった児を対象に発症から2ヶ月以内に、全身のmagnetic resonance angiography (MRA)の検査を行った。発症から2ヶ月以降でも、中等度以上の冠動脈瘤があるか心筋虚血の症状のあった児にはperipheral angiography (PA)を施行した。
・1148名が川崎病の診断となり、そのうち110名が基準を満たし2ヶ月以内にMRAが施行され、52名が2ヶ月以降にPAを施行された。
・検査された162名中23名に冠動脈以外の動脈瘤病変を認めた。川崎病を発症した月齢の中央値は5か月で、全例で中等度以上の冠動脈瘤病変を合併していた。
・川崎病患者全体での冠動脈以外の動脈瘤の有病率は2% (23/1148名)と推測された。
・冠動脈瘤のみの群に比べ、冠動脈瘤と冠動脈以外の動脈瘤を伴う群では、川崎病発症の月齢が早く (5か月 vs 15か月, P < .001)、発熱の期間が長かった (12日 vs 8日, P< .001)。
・冠動脈以外の動脈瘤の病変は、腋窩動脈 (18.6%)、総腸骨動脈 (12.4%)、上腕動脈 (11.6%)などに多く認めた。
・3-18か月の管理期間中 (中央値 6か月)に、18名の85の動脈瘤のうち、79の動脈瘤が改善を認め、68の動脈瘤で通常のサイズまで改善を認めた。
・筆者らは、免疫グロブリン療法が普及した現代において、川崎病に伴う冠動脈以外の動脈瘤の頻度は過去の報告と比してあまり変化がない可能性があるが、短期の観察においてもその改善率が高いことがわかったとした。

原文への

Yasuyuki Fuseda Written by: