VRで小児胸部X線撮影の不安を軽減

【医療×ICT. Sep. 2019】

Han, Sung-Hee, et al. "Effect of Immersive Virtual Reality Education Before Chest Radiography on Anxiety and Distress Among Pediatric Patients: A Randomized Clinical Trial." JAMA pediatrics 173.11 (2019): 1026-1031.

P: 韓国城南市の三次病院で2018年7月-9月に胸部X線撮影を行なった4-8歳の小児患者112名
E: 3分間のVirtual Reality (VR)の教材を使用して胸部X線撮影に関して説明
C: 口頭で撮影に関して説明
O: Observational Scale of Behavioral Distress scale for radiology procedures (※) による撮影に対する小児患者の不安やストレスの程度の評価, 親の介助が必要だった割合、撮影所要時間、親の満足度など

※Observational Scale of Behavioral Distress scale for radiology procedures: 小児患者の手技に対する不安やストレスの程度を評価者が評価する指標で、総点数は30。本研究では、盲検化したうえで、評価者1名が評価を行なった。

結果のまとめ

・解析対象者は99名で、50名が対照群 (平均年齢 [標準偏差]: 5.6歳 [1.2], 男児26名)、49名が介入群 (平均年齢 [標準偏差]: 5.8歳 [1.3], 男児32名)にランダムに割り当てられた。
・不安やストレスの程度は、介入群で優位に低値だった (平均 [標準偏差]: 2.0 [3.7] vs 5.0 [6.1], p=.004 )。
・親の介助が必要であった割合 (16.3% vs 36.0%)、撮影にかかった時間 (平均 [標準偏差]: 55.1秒 [21.6] vs 75.0秒 [42.0])も介入群で低値だった。
・親の満足度は介入群で優位に高値だった (平均 [標準偏差]: 9.4 [1.4] vs 8.6 [2.0])
・筆者らは、VR教材の活用は小児患者の胸部X線撮影時のストレスを軽減し、親の満足度を高める効果があったと述べている。

原文へのリンク

Naoya Hashimoto Written by:

小児科医、公衆衛生修士、株式会社Kids Public 代表取締役。2009年 日本大学医学部卒。聖路加国際病院にて初期研修。国立成育医療研究センターにて小児科研修。東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻 修士課程修了。