在宅人工呼吸器の遠隔モニタリング

【医療×ICT. Jun 2018】

Trucco, Federica, et al. "Tele-monitoring in paediatric and young home-ventilated neuromuscular patients: A multicentre case-control trial." Journal of telemedicine and telecare (2018): 1357633X18778479.

P: 神経筋疾患にて在宅人工呼吸器使用中の若年患者48名 (年齢中央値 16.4歳, 四分位範囲 8.9-22.1歳, 2014年9月-2016年9月の期間, イタリアの3箇所の病院かかりつけの患者)
E: 夜間のSpO2、心拍数、人工呼吸器使用時間の遠隔モニタリングを行い、得られたデータを翌朝医療チームに連携した。データの悪化があった場合、医療チームが追加受診や電話相談を行った。
C: 介入前:同患者の遠隔モニタリング導入前の状況、コントロール群:年齢と疾患でマッチングを行ったコントロール群48名
O: 急性増悪、入院、Caregiver Burden Inventory (CBI) による保護者負担の測定

結果のまとめ

・人工呼吸器使用時間の中央値は介入群で10.5時間 (四分位範囲 8-16 時間)、コントロール群で8時間 (四分位範囲 8-13時間)だった。
・急性増悪の頻度は介入群とコントロール群の間で有意な差がなかった (59回 vs 53回, p=0.15)。
・入院は同患者の介入前およびコントロール群に比べ、介入群で有意に少なかった (介入群 vs 介入前: 11回 vs 24回, p=0.04, 介入群 vs コントロール群: 11回 vs 21回, p=0.03)。
・入院期間の中央値はコントロール群に比べ、介入群で有意に短かった (介入群 6日 vs コントロール群 7日, p=0.03)。
・CBIによる保護者の負担感のスコアは介入群とコントロール群の間で差がなかった (32.5 vs 35.5, p=0.06)。
・筆者らは、在宅人工呼吸器使用中の若年患者に対する遠隔モニタリングは、保護者の負担を増やさずに在宅での管理の向上に貢献しうる可能性があると述べた。

原文へのリンク

Naoya Hashimoto Written by:

小児科医、公衆衛生修士、株式会社Kids Public 代表取締役。2009年 日本大学医学部卒。聖路加国際病院にて初期研修。国立成育医療研究センターにて小児科研修。東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻 修士課程修了。