クループに対するステロイド内服治療

【PEDIATRICS. Sep 2019】

Parker, Colin M., and Matthew N. Cooper. "Prednisolone Versus Dexamethasone for Croup: a Randomized Controlled Trial." Pediatrics 144.3 (2019): e20183772.

P: 西オーストラリア州パースの救急外来にクループで受診した生後6か月以上かつ最大体重20kgまでの小児 (2009年3月から2012年7月、3次医療機関の小児病院と市街地の一般病院で実施された二重盲検非劣性RCT)
E: デキサメタゾン低用量 (0.15 mg/kg)内服もしくはプレドニゾロン (1mg/kg)内服
C: デキサメタゾン標準量 (0.6 mg/kg)内服
O: クループスコア (Westley Croup Score: 以下WCS)および治療開始後1週間以内の予定外再診率

結果のまとめ

・1,252名の小児が研究対象となり、410名がコントロール群 (月齢の平均値: 29.2ヶ月)、410名がデキサメタゾン低用量群 (30.5ヶ月)、411名がプレドニゾロン群 (30.4ヶ月)に割り当てられた。
・開始時のWCSの平均値はコントロール群で1.4、デキサメタゾン低用量群で1.5、プレドニゾロン群で1.5だった。治療後1時間でのWCS変化量はコントロール群と比較して、デキサメタゾン低用量群で0.03 (95% confidence interval [以下CI] –0.09 – 0.15)、プレドニゾロン群で0.05 (95% CI –0.07 – 0.17)だった。
・治療開始後1週間以内の再診率はコントロール群で17.8%、デキサメタゾン低用量群で19.5%、プレドニゾロン群で21.7%だったが、コントロール群と比較して有意な差は認められなかった (デキサメタゾン低用量群 P=.59, プレドニゾロン群 P=.19)。
・著者らは、デキサメタゾン低用量やプレドニゾロンの内服が標準量のデキサメタゾン内服と比較して遜色がなかったと報告し、クループの治療としてステロイド内服薬の種類は急性期や1週間以内の効果に臨床的な差がないだろうと結論づけている。

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Toshiyuki Tanaka Written by:

高校時代に渡米、ニューイングランドの寄宿舎で高校生活を送る。大学はコネチカットのリベラルアーツカレッジで経済学を専攻する。卒後はインターンなどを経て、ボストンの大学院で公衆衛生を学ぶ。東南アジアで国際保健のプロジェクトに携わった後、日本に戻り医学部に編入学する。後期研修より小児科医としての研鑽を積む。現在は小児科オンラインの運営に携わる。