ITを活かした看護師による産後ケア

【医療×ICT. Jun 2019】

Mccarter, Deborah E., et al. "Technology‐Assisted Nursing for Postpartum Support: A Randomized Controlled Trial."Journal of Advanced Nursing (2019).

P: 米国ニューハンプシャー州の都市部の病院で2016年5月から2017年8月に出産した18歳以上の産後女性
E: 介入群1 (1週間に4回の頻度で電子メッセージを退院後26週間受け取る)
介入群2 (介入群1と同様のメッセージ受信に加え、看護師との電話オプションを提示)
C: 通常の産後ケア (産後2週間以内に看護師が電話をかける)
O: Edinburgh Postnatal Depression Scale (EPDS), Parenting Stress Index-Short form(PSI-SF), 参加者満足度 (13項目, それぞれ5段階評価)

結果のまとめ

・1232名が研究対象となり、そのうち基準を満たし参加希望のあった537名に対し研究が実施された。
・通常の産後ケアに167名、介入群1に181名、介入群2に189名がランダムに割り付けられた。
・介入群2では、6ヶ月間で31件の電話希望があった。そのうち8件は母親自身に関することで、残りの23件は児に関する内容だった。
・6ヶ月間のフォローアップを完遂した、通常の産後ケアの87名、介入群1の88名、介入群2の101名に関して評価を行なった。
・産後3週間、3ヶ月、6ヶ月いずれの時点においてもEPDS, PSI-SFに関しては3群で統計学的有意な差はなかった。
・介入群2は介入群1に比べ参加者満足度が統計学的有意に高かった (平均値 3.94 vs 3.69, p=0.025)。
・筆者らは、介入群において参加者満足度が高かったにも関わらず、EPDSやPSI-SFに有意な差異がみられなかったことに関して、今後は看護師による母親へのケアや看護業務に特化した評価尺度を用いた研究が必要と述べている。

原文へのリンク

Naoya Hashimoto Written by:

小児科医、公衆衛生修士、株式会社Kids Public 代表取締役。2009年 日本大学医学部卒。聖路加国際病院にて初期研修。国立成育医療研究センターにて小児科研修。東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻 修士課程修了。