ADHDの若者の交通違反・事故

【PEDIATRICS. Jun 2019】

Curry, Allison E., et al. "Traffic crashes, violations, and suspensions among young drivers with ADHD." Pediatrics 143.6 (2019): e20182305.

P:1987-1997年生まれのアメリカ ニュージャージー州の住民で、フィラデルフィア小児病院 (ネットワーク内のクリニック含む)を受診したことがあり、運転免許を取得した者
E:ADHDの診断あり
C:ADHDの診断なし
O:交通事故や交通違反、免許停止

※ADHD: attention deficit hyperactivity disorder 注意欠陥・多動性障害

結果のまとめ

・フィラデルフィア小児病院のネットワークを用い、ニュージャージー州の陸運局や警察署と協力し、今回の研究対象となったものは14,936名であった。その内、ADHDの診断がついたものが1,769名、ADHDの診断がついていないものが13,167名であった。
・ADHDの運転者の交通事故率は非ADHDの運転者より高く、とりわけ免許取得後1か月以内に有意に高かった(調節リスク比 1.62 [95% confidence interval 1.18-2.23])。
・免許取得後1年以内に交通事故を起こしたADHDの運転者の人数と非ADHDの運転者の人数は4316人 (19.8%) vs 1951人 (16.2%); P < 0.001、4年以免許取得後4年以内では461人 (46.8%) vs 2943 (36.4%); P < 0.001とADHDの運転者で有意に多かった。
・免許取得後1年間に交通違反を起こしたADHDの運転者は567人 (35.6%)、そのうち走行中の交通違反は427人 (26.8%)、交通違反を起こした非ADHDの運転者は3053人 (25.3%)、そのうち走行中の交通違反は2247人 (18.6%)と有意差を認めた。
・筆者は、これまでの研究同様ADHDの若者の交通事故・違反が多かったことを示したほか、リスクの高い運転も多いことがその原因になっている可能性を示し、ADHDの若者に対して予防的な対策を取ることの必要性を述べた。

原文への

Yasuyuki Fuseda Written by: