自閉症児へのアプリ処方

【医療×ICT. Feb 2019】

Parsons, Dave, et al. "A Randomised Controlled Trial of an Information Communication Technology Delivered Intervention for Children with Autism Spectrum Disorder Living in Regional Australia."Journal of autism and developmental disorders 49.2 (2019): 569-581.

P: オーストラリアの地方部在住で、DSM-5に基づき自閉症と診断されている59名の児童
E: 通常の治療に加え、自閉症の治療目的に作成されたiPad用のアプリケーションであるThe Therapeutic Outcome By You (TOBY)を3ヶ月間毎日20分行う
C: 通常の治療のみを行う
O: Mullen Scales of Early Learning (MSEL)による視覚受容、言語能力の評価およびCommunication and Symbolic Behavior Scales Developmental Profile Caregiver Questionnaire (CSBS)による模倣、社会性の評価

結果のまとめ

・ランダムに割付られた介入群 (30名, 平均月齢 64.4 [標準偏差 22.73])と対照群 (29名, 平均月齢 60.8 [標準偏差 15.47])が比較された。
・介入群に対して毎日20分のアプリケーションの使用を説明したものの、介入期間中平均で11.3分 (時間幅 0-50.44分, 標準偏差16.2)の使用にとどまった。
・比較した7項目のうち6項目の平均値で介入群のほうが良い値となったが、統計学的優位な差はMSELの表出言語項目においてのみみられた。 (介入群 12.3 vs 対照群 3.5, P=0.033)
・副次的な評価において両群の介入後6ヶ月までのスコアを合わせて解析したところ、介入群において受容言語 (言語理解)、実用的な言語スキル、社会性において継続的な改善が有意にみられており、能力の獲得が示唆された。
・筆者らはアプリケーションには一定の効果があったとしつつも、脱落者が多かったことや、介入群における使用時間が短かったことから、参加者のアドヒアランスを向上させる取り組みが今後必要であると述べている。

原文へのリンク

Naoya Hashimoto Written by:

小児科医、公衆衛生修士、株式会社Kids Public 代表取締役。2009年 日本大学医学部卒。聖路加国際病院にて初期研修。国立成育医療研究センターにて小児科研修。東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻 修士課程修了。