機械学習による小児緊急度予測モデル

【医療×ICT. Jan 2019】

Goto, Tadahiro, et al. "Machine Learning–Based Prediction of Clinical Outcomes for Children During Emergency Department Triage."JAMA network open 2.1 (2019): e186937-e186937.

P: 米国内で2007-2015年に救急外来を受診した18歳以下の小児例52,037件
E: 4種の機械学習の手法を用いた転帰の予測
C: 従来のトリアージによる転帰の予測(これまでトリアージに用いられてきた変数を用いたロジスティック回帰分析モデル)
O: 集中治療の有無(集中治療室への入室かつ/もしくは院内死亡)、入院(直接入院もしくは転院)

結果のまとめ

・解析対象の年齢の中央値は6歳 (四分位範囲 2-14歳)であった。
・163件 (0.3%)が集中治療を必要とし、2352件 (4.5%)が入院を必要とした。
・機械学習を利用したモデルの作成には、 logistic regression with lasso regularization, random forest, gradient-boosted decision tree, deep neural networkの4種の手法が用いられた。
・集中治療の有無に関しての予測では、有意差はなかったものの4種の機械学習の手法全てが従来の方法に比べ識別能が高かった。 (例:deep neural networkにおけるC統計量 0.85, 95% confidence interval [以下95% CI] 0.78-0.92 vs 従来の方法 0.78 [95% CI, 0.71-0.85], P = .16)
・入院の有無に関しての予測では、4種の機械学習の手法全てが従来の方法に比べ有意に識別能が高かった。 (例:deep neural networkにおけるC統計量 0.80 [95% CI, 0.78-0.81] vs 従来の方法 0.73 [95% CI, 0.71-0.75], P < .001)
・機械学習を利用したモデルは従来の方法に比べ集中治療の有無に関しての予測において感度が高く、アンダートリアージが少なかった。また、入院の有無に関しての予測において特異度が高く、オーバートリアージが少なかった。
・筆者らは、小児の緊急度判断において機械学習を用いた判定は従来の方法に比べ識別能が高く、集中治療の必要性におけるアンダートリアージ、および入院の必要性におけるオーバートリアージを減少しうると述べている。

原文へのリンク

Naoya Hashimoto Written by:

小児科医、公衆衛生修士、株式会社Kids Public 代表取締役。2009年 日本大学医学部卒。聖路加国際病院にて初期研修。国立成育医療研究センターにて小児科研修。東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻 修士課程修了。