小児遠隔医療を行う医師への質的研究

【医療×ICT. July 2018】

Haimi, Motti, et al. "Physicians’ experiences, attitudes and challenges in a Pediatric Telemedicine Service." Pediatric research (2018): 1.

P: イスラエルの小児遠隔医療サービス「Pediatrician Online of Clalit」で勤務する小児科医
E: 「Pediatrician Online of Clalit」を通した小児遠隔医療サービスの提供
C: なし
O: 小児遠隔医療を行った感想に関するインタビュー

結果のまとめ
・過去5年間にこの小児遠隔医療サービスで勤務した15名の小児科医に対してインタビューを行った。
・この小児遠隔医療サービスは、小児科医により、診療所がしまっている夕方、夜間、週末に、音声通話またはビデオ通話で提供された。
・勤務した小児科医の平均年齢は52歳 (年齢幅: 42〜67歳)だった。
・小児科医へのインタビューの解析の結果、小児遠隔診療サービスを提供する上で以下の問題点または課題があげられた:遠距離での診断の困難さ、面識のない患者に対応する困難さ、一人で対応する不安、緊急度の高さや利用の殺到、技術的な(システムの)トラブル、特有の精神的葛藤(良いサービスであることと適切な医療であることなど)
・小児遠隔医療には困難が伴うが、実際に勤務した小児科医は、医学的な要素以外も考慮に入れること(親のヘルスリテラシー、声のトーン、心配の大きさ、家族の社会経済的状況)や、親と共に方針を決めていく姿勢などでそれらを克服できる可能性があると回答し、著者はこの小児遠隔医療サービスの勤務には一般的な医師に必要とされる従来の技能だけでなく、特別な技能が求められることは明らかだと述べている。

原文へのリンク

Naoya Hashimoto Written by:

小児科医、公衆衛生修士、株式会社Kids Public 代表取締役。2009年 日本大学医学部卒。聖路加国際病院にて初期研修。国立成育医療研究センターにて小児科研修。東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻 修士課程修了。