機械学習による脳室シャント予測

【医療×ICT. Feb 2018】

Pisapia, Jared M., et al. "Use of fetal magnetic resonance image analysis and machine learning to predict the need for postnatal cerebrospinal fluid diversion in fetal ventriculomegaly." JAMA pediatrics 172.2 (2018): 128-135.

P: 米国フィラデルフィア小児病院にて、2008年1月1日から2014年12月31日までに胎児期のMRIにて脳室拡大を指摘された253名
E: 胎児期のMRI所見を機械学習を用いて解析し、出生後の脳室シャント手術の必要性に関して予測モデルを作る
C: なし
O: 予測モデルの正確度、感度、特異度を求める

結果のまとめ

・モデルの作成のために、対象集団から、出生後に脳室シャント手術を行った症例群25名と行わなかった対照群25名の集団 (探索群)を作った。また、別の施設(コロンビア大学メディカルセンター)から24名の集団 (検証群)を作り、作成されたモデルの評価を行った。
・合計74名の患児の平均在胎週数は、27.0週(標準偏差 5.6週)であった。
・脳室シャント手術が行われた中央値は、生後6日(四分位範囲 2-51日)だった。
・症状のない患児における観察期間の中央値は、29ヶ月 (四分位範囲 9-46ヶ月)だった。
・探索群におけるモデルの正確度は82%, 感度は80%, 特異度は84%だった。
・検証群におけるモデルの正確度は91%, 感度は75%, 特異度は95%だった。
・筆者らは、胎児期に脳室拡大のある児の機械学習を用いたMRI画像の評価は、出生後の脳室シャント手術の必要性予測に貢献しうると述べ、将来的に胎児治療の候補の選定に活かしうると述べている。

原文へのリンク

Naoya Hashimoto Written by:

小児科医、公衆衛生修士、株式会社Kids Public 代表取締役。2009年 日本大学医学部卒。聖路加国際病院にて初期研修。国立成育医療研究センターにて小児科研修。東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻 修士課程修了。