スマホ心電図の小児における正確性

【医療×ICT. Sep 2018】

Gropler MRF, et al. “Can smartphone wireless ECGs be used to accurately assess ECG intervals in pediatrics? A comparison of mobile health monitoring to standard 12-lead ECG.” PLOS ONE 13(2018): e0204403.

P: 米国セントルイス・ワシントン大学循環器クリニックを受診し、12誘導心電図を施行された18歳未満の患者
E: The Alivecor Kardia Mobile (スマートフォンと連動し、単誘導心電図を測定するデバイス)による測定
C: 同一患者における12誘導心電図による測定。両測定は外来受診時に行われ、同時ではなく、順番に行われた
O: 同一患者におけるThe Alivecor Kardia Mobileと12誘導心電図それぞれの所見を2名の小児循環器医が評価

結果のまとめ
・0-5歳、6-10歳、11-18歳の年齢層でそれぞれ10名ずつ、合計30名が参加し、平均年齢は8.2歳で、年齢幅は生後14日-17歳であった。
・参加者のうち20名 (67%)が構造異常か伝導障害もしくは両者があった。
・測定開始時、参加者は全員洞調律であった。
・27名 (90%)はThe Alivecor Kardia Mobileによる初回の測定で診断可能なデータが得られた。
・心拍数に関しては、28名 (93%)で一致した。
・2つの測定方法におけるPR間隔の差異は15.2±10.8ミリ秒 (r=0.86)、QRS間隔の差異は9.6±8ミリ秒 (r=0.86), QTcの差異は15.6±12.7ミリ秒 (r=0.83)であった。
・9名の患者でQTcの差異が20ミリ秒より大きくなった。このうち4名で伝導障害があり、2名で洞性不整脈があった。
・4名 (13%)で心房細動を検知するアルゴリズムが偽陽性を示し、検知の特異度は87%だった。
・筆者らは、もともと成人の心房細動の検知に関してFDAを通過したThe Alivecor Kardia Mobileを小児の心電図評価に用いた場合においても、幅広い年齢分布、心疾患や不整脈の有無に関わらず正確な単誘導心電図の評価が可能であったと述べている。

原文へのリンク

Naoya Hashimoto Written by:

小児科医、公衆衛生修士、株式会社Kids Public 代表取締役。2009年 日本大学医学部卒。聖路加国際病院にて初期研修。国立成育医療研究センターにて小児科研修。東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻 修士課程修了。