女性におけるHPVワクチン接種完遂率の格差

【OBGYN. Sep 2018】

Freeman, Alexandra Jana H., et al. "Disparities in Human Papillomavirus Vaccine Completion Rates Among Females in an Integrated Health Care System." Obstetrics & Gynecology 132.3 (2018): 717-723.

P: 米国カリフォルニア州でHPV4価ワクチン接種を受けた11-26歳の女性 (2008-2012年、コミュニティベースの医療システム [Kaiser Permanente Northern California system]加入者が対象)
E: なし
C: なし
O: HPVワクチン接種完遂 (初回接種から1年以内に計3回の接種を完了)

結果のまとめ

・初回ワクチン接種時点で子宮頸部異形成や腫瘍病変を有していた症例は除外された。
・ワクチン接種を受けた102,052名の女性のうち、41,847名 (41%)が接種を完遂していた。
・最も若い群 (11-14歳)は、teens (15-17歳)やyoung adults (18-26歳)よりも有意に高い完遂率だった (順に43.4%, 37.4%, 38.0%, P<0.001)。
・人種や民族において、最も高い接種率だったのはアジア系の女性 (49.5% [95% confidence interval 48.8-50.2%])で、逆に最も低い接種率だったのは黒人の女性(28.7% [95% confidence interval 27.8-29.6%])とヒスパニック系の女性 (38.9% [95% confidence interval 38.3-39.5%])だった。
・ヒスパニック系の女性において、文化変容の程度が小さい群 (スペイン語を主に使用する人々)では、大きい群 (英語を主に使用する人々)より接種完遂率が高かった (adjusted odds ratio 1.23 [95% confidence interval 1.16-1.31])。
・筆者らは、約半数の女性がHPVワクチン接種を完遂できていないこと、人種間で完遂率に有意な差があることが示されたことから、全ての人種や民族にまたがるがん予防策が強く望まれると結論づけている。

原文へのリンク

Daisuke Shigemi Written by:

産婦人科専門医、公衆衛生学修士。 株式会社Kids Publicの産婦人科医師統括部として産婦人科オンラインの運営に携わっている。また、東京大学大学院の博士課程に在籍しながら産科病院での臨床にも従事している。 初期研修を日本赤十字社医療センターで行い、3年目に日本医科大学産婦人科学教室に入局。卒後8年目に退局。